「紙の動物園」「もののあはれ」ケン・リュウ著

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アメリカの若手作家によるSF短編集。ワンアイデアものや仮想歴史ものなどジャンルは多岐で、いかにも才気が走っているうえで、特徴的なのは東洋テイストさらには和風テイストが色濃いことである。たとえば、表題作「もののあはれ」って原題は何だろうと思ったら、"Mono no Aware"って、それ日本人以外にはピンと来ないと思う。しかもこの短編の舞台は(以下ややネタバレ)

ちゃんとSFらしく宇宙船で、そこでの登場人物の行動原理に「もののあはれ」が反映されているというのがポイント。日本人だからって自分がもののあはれを感得しているわけではないけど、自分の"分かってない"具合も含めて日本人の読者であるゆえに得られる読書体験である。

コンピュータのコンセプトに依存したものや過剰な暴力描写があるのはちょっと目がついていかないが、めちゃ難解でも思弁的でもないんで、ちょっと現世を離れてみようかという自分のような疲れたおっさんも手に取れる。

(引用はじまり)
太陽もタンポポも蠅も<鉄槌>も、われわれみんなも。われわれはみなジェイムズ・クラーク・マクスウェルの方程式に支配されており、継続時間が一秒であろうと十億年であろうとみな最終的には消えていく運命にある一時的なパターンなのだよ
(引用おわり

(平成29年発行・令和2年購入、ハヤカワ文庫)


年報:
活字の本に加えて、マンガですら量を読めなくなってきて、往生しております。目も頭も確実に加齢している(^^)/
浮世の稼業はあいかわらずです。

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