「阿寒に果つ」渡辺淳一著
近作では「ひとひらの雪」や「失楽園」で中高年の愛欲(#^.^#)を描いて話題を呼ぶ著者が30代の頃に書いた、比較的初期の作品が本作である。内容は、さらに遡って著者が10代の頃に、当時恋した女性が自殺してしまった過去について、その女性が他に交際していた男への取材を通して経過を探ってゆくというものだ。
何が痛いって、まずもって自身の10代の頃の破れた恋を題材に取るのが決定的にイタい。
著者は基本的にナルシストなので全六章立てのうちヒロインと自身の交流を描いた第一章がいきなり“若き作家の章”ってタイトルなのもかなりイタい。
そして何より、ヒロインが他にそーとーな数の異性と交際していたことを取材を通して追体験してゆく過程が、読者として感情移入してしまって、読者の心が痛いよ痛いよ。
たいていの人は若い頃に恋愛で多少は痛い目に遭ってるはずで、出所の分からない感情を持て余して挙句に燃え尽きた経験があるならば、同様の痛みを伴う読後感を持つだろう。持ちたいかどうかは別である(^^)
本作が事実に基づいているとすれば、10代だった著者の経験はかなり極端な部類なので、その後の著者の性向や価値観に多大な影響を与えたことは容易に推測できる。そうであってみれば、いま老境に入ってなお老境なりのエロい小説に情欲を燃やすのも道理である。当Weblog運営者は日経新聞を購読していて、連載小説だった「失楽園」で主人公が性交中に相手を殺した回のときはかなり驚いたよ。
三つ子の魂百まで。
(昭和57年発行・購入、角川文庫)
これ買ったの25年以上前か・・・当時は心は痛くならなかったな・・・今回は痛かった・・・
この記事へのコメント