「逃がれの街」北方謙三著

アパートにデカがやって来た。
地味なコートから手帳を取り出して身分を誇示すると、部屋の中を一瞥し、任意同行を求めてきた。
おととい同じ業病を持つ知り合いを泊めたがゆえの誤認である。
泊めたときに大切そうに抱えていた薄汚れた肩掛カバンに入っていた小さな紺色のスカートが決め手。知り合いはカバンを残したまま行方不明。
紺色のスカートがその手の犯罪に関連する物証であり、私のアパートの部屋に散乱した、合法的であるにしても18歳以下が買えない異色なアイテムの数々が傍証であってみれば、自分が疑われるのも根拠のあることではある。
誤認が解けて解放された自分が、今まで懸命に適応しようとしていた一般社会に対して自暴自棄な気持に陥っていたとして、誰が自分を責められるだろう。
そんな齟齬にすっかり疲弊して公園で項垂れていたタイミングに、保護者から遺棄された女児と出会ってしまった。周囲に対して何も期待しない、希望を失った彼女の双眸を見て、衝動的にすべてを投げ出してこの子とどこまでも逃げ出してしまおうと思ったとして、誰が自分を責められるだろう。
(´-`).。oO(いや、みんなが自分を責めると思うんですけど。)
そして、ふたりの逃避行が始まった。
* * *
上記は本書の前半の骨格を流用して題材を奪胎したものです。
しかしストーリーとか登場人物の行動の根拠が破綻している点は似ていると思う。
主人公の一労働者が誤認逮捕を契機として次々と殺人を犯す豹変ぶりとか、恋人役の若い女性のめまぐるしく変転する心情とか、なにより、主人公が連れて逃げる少年の登場が唐突すぎる。
さんざんボロカスを書いておいてアレだが、でも、作者が、孤独で熱くて寒くてクライムな空気を描きたかったんだということは、ひしひしと伝わる。ひとことで云えば、ハードボイルドしたかった、そういう情動を共有する作品であろうと思う。
(昭和60年、集英社文庫)
(´-`).。oO(前半のヨタ文のノリって、つまり"ロリータ"だよなぁ)
(´-`).。oO(あの雰囲気がロードムービーぽくリメイクされれば名作だよなぁ)
この記事へのコメント
そりゃあ、虐待ですね。
なお、この小説に登場する少年は最初からけっこう懐こいです。